コラム

ファーストペンギンになれ!

2020/12/21
ファーストペンギン

ファーストペンギンとは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ最初の1羽のペンギンのことを指します。

その勇敢なペンギンのように、リスクを恐れず初めてのことにチャレンジするベンチャー精神の持ち主を、米国などでは敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。

日本でもいろいろなところで耳にすることが多くなったように感じます。

 

ペンギンは、たくさんの個体が隊列を組んで氷上を移動したり、エサになる魚を囲い込んで捕食したり、つねに群れで固まり集団行動をとることで知られますが、実はそのペンギンの群れには、特定のリーダーが存在しません。

例えば、群れに何らかの危険が迫った場合は、最初に察知した1羽の後に続くことで、まわりもいっしょに危険を逃れます。

強いボスやリーダーではなく、最初の1羽に従うのが彼らの集団行動の特徴なのです。

この習性は、ふだん陸上で過ごすペンギンたちが、エサの魚を採るために海へ入るときにも発揮されます。

集団性が強いので、群れの中の誰かひとりが海に入るまでは、みんな氷上にとどまって動きませんが、誰か1羽でも先陣を切って飛び込めば、後に続けと次々と海に入っていくのです。

そこにはシャチやオットセイなど、恐ろしい天敵が待ち受けているかもしれません。

生命の危険を顧みず、真っ先に飛び込んだペンギンは、身をもってその海が安全であると仲間に示すことと同時に、そうすることで誰よりも確実に、エサにありつくチャンスを得るわけです。

 

ハイリスク・ハイリターンは、人間社会のビジネスにも通じる考えでしょう。

ビジネスの世界では、誰も足を踏み入れたことのない領域に挑むベンチャー企業の社長や、イノベーションを引き起こすプロフェッショナルのことを、この勇敢な最初の1羽に例えて、ファーストペンギンと呼びます。

米国の学生にキャリアビジョンを尋ねると、最上位に起業家が挙がるのは、幼い頃から「人と同じでなく、ファーストペンギンを目指しなさい」という教育が徹底されているからです。

インターネット、ITの技術が世の中に現れた最初の頃、それが将来、社会を大きく変え、人々の生活になくてはならないものになると想像した人はどれくらいいたでしょうか。

このとき自分を信じ、リスクをとって海に飛び込んだファーストペンギンたちが、いまや時価総額トップレベルの世界的IT企業をつくりだし業界全体のイニシアティブさえ握っている状態にあります。

 

私たち人間が織りなす現代社会においても、リスクを取って先陣を切るファーストペンギンは希少な存在です。

先が読めない不確実な時代にあって、ヘタに自分から何か仕掛けるより、他の誰かがやって成功するのを見とどけてから間髪入れずに後に続くのが賢い人間、ということなのかもしれませんね。

しかし1997年に創業してからわずか8年で時価総額1兆円に達した楽天。

プロ野球球団を創設したりTV局との経営統合に動いたりと日々マスコミを賑わす存在ですが、楽天のベンチャースピリットはまさにその強烈なスピード感に体現されています。

楽天が創業した1997年から2000年にかけてはインターネットモールが錯乱状態となった時期で、どこもどんぐりの背比べといった状況でした。そんな中、三木谷社長率いる楽天は誰よりも早く走ることをモットーにeコマース事業を見事に勝ち抜いて、ネットモールで圧倒的な地位を築きました。

米国のアマゾン、イーベイ、ヤフーなどネットビジネスの勝者はいずれもその分野の先駆的な事業者で、競合他社よりも早く顧客ベースとブランドを築いてNo.1の地位を不動のものにしています。

他の誰よりも早く走ること、それが今日のビジネス戦争に勝ち残るすべであるとすれば、ファーストペンギンの理論は新たな時代を切り開く鍵になるのではないでしょうか。