コラム

外国人材雇用における自律型社員の育成

2022/06/09
外国人材雇用における自律型社員の育成

3月1日からの水際対策の緩和措置により、海外からの入国が再開されました。

また、6月1日からは1日の入国人数が20,000人まで拡大し、さらに入国時の検査も緩和されております。
まだ国・地域によって制限が設けられておりますが、外国人材の雇用を検討、計画されている企業様にとっては、非常に喜ばしいことではないでしょうか。

水際対策強化に係る新たな措置(28)に基づく国・地域の区分について

観光目的での入国も順次開始する報道も出ておりますので、日々注意は必要ですが、感染症拡大以前の状態に少しずつ戻っていくことでしょう。

 

【外国人材の受け入れと育成】

日本で働く外国人、特に増加している「外国人技能実習生」は40万人を越え、多くの人材不足に悩む企業の助けとなっています。

「技能を習得し、母国発展の助けとなる」技能実習の本分を理解して入国してくる東南アジアを中心とした若者たちは、母国の日本語学校で日本語学習をおこなった後、日本にやってきます。入国後にも改めて日本語講習と生活講習を受講してから各企業へ配属されていきますが、受け入れた企業にとっての最初の難関は、それでも言語の違いと生活習慣の違いになるでしょう。

とはいえ、言語に関しては1年程度でどの国籍の人材も日本語でコミュニケーションが取れるようになっていきます。
上達の早い実習生は、この段階で日本語検定3級(N3)に合格するケースも出ています。言語は生活に直結している分、身につけるスピードも早くなるようです。企業によっては毎週時間を作って日本語教育をおこない、日本語検定合格者へ報奨金を出したりしながらモチベーションを保つ施策をとっています。
 

では“生活習慣”はどうでしょうか?

日本企業の多くは人材育成に多くの時間を割きます。
日本式の礼儀やマナーを身につけさせ、他の日本人社員と同等に生活できるよう指導をしていると思います。
ある部分だけを切り取った批判的な報道などありますが、実習生本人たちにヒアリングしてみると、「とても役に立った」「時間管理ができるようになった」というような声が多く聞かれます。生活習慣が変わることで、母国では考えもしなかった細かなことを日本滞在中の3年もしくは5年間で習得し、その後の人生に大きな変化をもたらしていますし、帰国後も自営業として独立したり日系企業や送り出し機関へ就職するなど、日本で身に付けた生活習慣をいかして活躍しています。

 

【自律型の社員へ育成するために】

言語の習得により、技能実習生は実習の上達スピードも上がり、日本での生活も軌道にのっていきます。加えて生活習慣が身についてくれば、実習の現場での技術習得もさらに拍車がかかります。

しかし、技能実習生の育成は、これが本当にゴールなのでしょうか。

多くの企業経営者、実習生の育成に携わる指導員の方々からよく聞く、技能実習生に求める「プラスアルファ」の要望は、自律して仕事ができる社員になってくれれば・・・という言葉です。

受け入れた外国人技能実習生が、自分の意志で考え行動できる「自律型社員」になれば、細かな指示をせずともチームの目標に向かって自らモチベートして仕事に取り組んでいけるので、成長のスピードは加速していきます。ですが実際は、外国人技能実習生に対して自律型社員の育成は非常に難しいと半ば諦めている方がほとんどではないでしょうか。

しかし、諦めることはありません。
ポイントをおさえて育成すれば、技能実習生が自律型社員として独り立ちすることは可能です。

 

ポイントは、”やさしさ” × ”厳しさ”です。

これは外国人技能実習生だけではなく日本人社員にも共通する事柄ですし、「言われなくてもわかっている」と思われてしまうかもしれません。簡単に言うと飴とムチですが、口で言うほど簡単なことではありません。

 

【自律型社員をつくる環境とは】

“やさしさ”とは、日本人であれ外国人技能実習生であれ、どんな社員も働きやすく職場環境を用意すること。
言い換えると、会社の都合よりも社員個人の都合を優先できるような職場環境とも言えます。

”厳しさ”とは厳しく評価をすること。当たり前のようにも感じますが、自社の評価制度を思い返してみてください。

厳格な基準設定はできていますでしょうか?
情などで評価をつけていないでしょうか?
評価者によって評価のぶれはないでしょうか?

例えば、外国人技能実習生の場合、職場のルールや行動指針を明確にした上で、模範的であるかどうか細かくチェック・評価する。工場などであれば仕上がりなどの数値を厳しく評価する。同じ勤続年数でも同じ職務でも給与では本人の評価によって大きく差がつくというシビアな評価が”厳しさ”です。外国人技能実習生の場合、明確な評価軸があればあるほど真剣に取り組むケースが多く見られます。

このように”やさしさ”と”厳しさ”を兼ね備えた環境は、自律型社員を育成するには最適と言えます。

”厳しさ”で成果を出さなければならないという良い緊張感を感じる一方で、”やさしさ”で働き続けられる、自分の希望を叶えられるという安心感を持ちながらチャレンジしていけるからです。厳しく評価されていることもあり、自分で考え・行動していても、会社の方向性から大きく外れること少なくなります。

 

ここまで、理想を語っているようで、実際そんな上手くいくのかと懐疑的な方がいらっしゃるのは無理もありません。

受け入れる予定の企業様にとっても、今までの仕組みや、やり方を大きく変える必要に迫られることもあるかもしれません。
外国人材は日本での生活や仕事に大きな夢や希望をもって入国してくる一方で、異国での暮らしに不安を持っていることも事実です。
失踪してしまったり、早期退職してしまう多くのケースは、職場になじめず孤独を感じてしまったり、しっかりとした評価を受けられず疑問を感じてしまう状況にあることに起因します。そのような状況にあれば、ドライな彼らは良い条件を提示されると容易に移動していってしまいます。

 

ご提案したいのは、受け入れを決められた際や配属の際に、しっかりとした就業後のビジョンを示してあげること安心できる職場環境を整えてあげることです。


“厳しくもやさしい”環境を整えてあげることが、自律型社員を育成する第一歩となるかと思います。